GAFA 第三章を読んで

GAFA の第3章 アップル

この本の中で著者のスコットギャロウェイはこう書いています。

“アップルを賞賛する記事を書くライターは多いが、その大半は同社が高級ブランドであるという視点が欠けている”

高級ブランドとなるには次の5条件を見たす必要がありますが、アップルは店舗を作ることによりすべての条件を満たすことができました。

1.  アイコン的な創業者

2.  職人気質

3.  垂直統合(メーカー直営店)

4.  世界展開

5.  高価格

ジョブスは1999年にアップルに復帰してからGAPの店舗展開で大成功を収めたドレクスラーを引き抜き、アップルの役員会に迎え、アップル初の店舗を始めました。

ジョブスがアップルショップを始めた時、ほとんどの人はeコマースの時代となったのでそれを失策と思いました。

又、当時アップルの最高財務責任者も大惨事が起こることを示唆し、ジョブスはチーズとクラッカーで満足している世界でキャビアを出そうとしていると語りました。

しかし、その結果は全く逆でした。アップルは大成功し、アップル製品を高級品とすることができました。

日本にあるアップルショップの数は少ないですが、アメリカの大きなショッピングモールにはアップル製品の高い知識を持った販売員がいる高級感のあるアップルショップが必ずあります

アップルはその製品の性能で成功したと一般的には思われていますが、実は高級店舗展開を始めたことが成功の背景にあったのです。

2016年の世界スマホ市場のマーケットシェアの利益シェアは驚くべき数字です。

同年のアップルの売上シェアは”台数では”わずか”14.5%ですが、利益シェアは何とダントツの79%

アップルはアップルショップを非常に上手く活用し、高級ブランドを確立し、それによりこのような高い利益シェアを実現できたのです。

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GAFA 第四章を読んで

第4章はフェイスブック

サブタイトルは人類の1/4をつなげた怪物

GAFAの4社の中でフェイスブックは一番若い会社で、設立してから今年でまだ14年の非常に若い会社です。

この本によると今や20億人、人類の4分1がフェイスブックと何らかのつながりを持っています。

世界のサッカーファンは35億人いるといわれていて、その人口を取り込むのに150年かかりましたが、フェイスブックは20億人とのつながりを20年もかからない間に実現してしまいました。

そしてその影響力は未曾有のスピードでまだ大きくなっています。

フェイスブックはマーケティングのフェーズで言えば、マーケティングファネル(漏斗)の一番上、”認知フェーズ”をカバーしています。

例えば、友人がどこかに行った、何かを買ったことをフェーズブックで知ると、同じ経験をしたり、同じものを買いたくなり、グーグルでそれを実現する方法を調べ”検討フェーズ”、アマゾンはそれがいつ手に入るかを教えてくれるくれます。”購入フェーズ”

私もフェイスブックのユーザーですが、年賀状交換だけだった昔お世話になった方からフェイスブックで突然連絡あり驚いたことがあります。

その方とはフェイスブック友達になりましたが今では年賀状では分からないその方の最新の状況が分かります。フェイスブックのすごいところはしばらく会っていないのにつながった友達が今何をしているかわかってしまうことです。

勿論、その方が記事や写真を投稿をしなければわかりませんが、頻繁に投稿する方はすぐにわかります。

少し怖いのはフェイスブックのシステム上で、自身の好みが丸裸になってしまうことです。

この本によれば、150回の”いいね”でそのひとの好みが分かってしまうそうです。

何も記事をアップしなくとも”いいね”をクリックするだけでも情報はアップされてゆくということです。

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GAFA 第五章を読んで

第5章 グーグル

サブタイトル 全知全能で無慈悲な神

いま世界でグーグルを使ったことのない人はなくなりつつあります。中国を除いて、世界中で1日に35億回のグーグル検索がされているそうです。

GAFAの著者はニューヨーク大学大学院の教授以外にニューヨークタイムズ紙の役員もしていたことがありました。

役員会で同紙はグーグルからの記事への無料アクセスを制限すべきであると提案しましたが、その意見は通りませんでした。

GAFAのアマゾンとグーグルはアメリカの新聞というビジネスモデルを凌駕してしまいました

アマゾンはワシントンポストを買収し、グーグルはニューヨークタイムズ紙を買収はしていませんが、同紙の情報を今でも最大活用しています。

グーグルは今、情報の開示と広告ビジネスの独占に関して欧州と戦っています。これはグーグルとアメリカの新聞との戦いに似ていると思います。

情報へのアクセスを有償化しようとする欧州と無償化しようとするグーグル。

欧州が無償に合意した後はグーグルが欧州の新聞を凌駕するということがおきる可能性もあるのではと思います。

私はアメリカのグーグルと仕事をしたことがあります。今でもグーグルとは打ち合わせをしています

まず驚いたのはグーグルのカフェテリアは朝、昼、夕いずれも無償で提供されることです。これはグーグル社員だけでなく、グーグルと打ち合わせをする人も同様です。わたしも何度か打ち合わせで朝食をご馳走になったことがあります。

もう一つ驚いたのはグーグルに勤務している人たちの出身地です。中国、インド、東ヨーロッパの国々。

グーグルのカフェテリアでは英語だけでなく、世界の言語が飛び交っています。

グーグルはアメリカ以外の世界中の優秀な学生を集め、今も急成長しています。

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GAFA 第六章を読んで

第6章はGAFAの4社が実は先行者ではなかったことについて言及しています。

フェイスブックの前にはマイスペースという会社が、アップルの前には最初にPCを開発した会社が、グーグルの前には初期の検索エンジンが、アマゾンの前には最初のオンライン小売業がありました。

この4社とも実は先行者の情報をとり、間違いから学び、資産を買い上げ、顧客を奪って成長してきたと。

産業革命がイギリスで始まったのは皆さんご存知ですが、アメリカの産業革命の発祥の地はどこでしょうか?

この本ではマサチューセッツ州のローウェルであると書いてあります。

ここの人々はイギリスへ行き、お客を装ってイギリスの繊維工場を視察し、設計やレイアウトをまるごと記憶し、アメリカに戻り、アメリカ初の繊維工場を設立し、成功したそうです。

アメリカは中国が技術を盗んでいると今、訴えていますが、実はイギリスに対して同じことをやっていたというのは驚きです。

勿論、これはアメリカ産業が立ち上がった初期の頃の話であり、その後様々な発明がアメリカで行われ、アメリカは技術を盗まれる側となりました。

アメリカもアメリカのGAFA4社も初期の頃は実は先行者ではなく、先行者よりも上手くビジネスをやることにより生き残り、成長していったという訳です。

例えば、アップルはマイクロソフトのウィンドウズはマックの模倣であると言っていますが、アップルは元々ゼロックスが開発した技術を購入してマックのスクリーンを作り上げました。

従い、誰が誰の真似をしたかを本当に判断するのは難しいです。

結果的には誰よりも早く、新技術の有効性を理解し、上手く商品化した会社が成功しているということだと思います。

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GAFA 第七章、第八章を読んで

第7章、第8章

これらの章ではGAFAを比較し 、GAFAには8つの共通点があることを指摘しています。

8つの共通点とは

1)商品の差別化

2)ビジョンへの投資

3)世界展開

4)好感度

5)垂直統合

6)AI

7)キャリアの箔付けになる

8)地の利

5)垂直統合について言えば、アマゾンは倉庫と物流を自ら持っており、今や、既存の物流会社よりも早く商品を運ぶことが出来ます。

最後の8)地の利について言えば、アップル、グーグル、フェイスブックはいずれもシリコンバレーにあり、スタンフォード大学から車でわずか15-20分の距離にあります。

アマゾンはマイクロソフトと同じシアトルにありますが、こちらもワシントン大学から非常に近いです。

いずれの会社もスタンフォード大学、ワシントン大学から優秀なコンピュータサイエンスの学生を容易に獲得できます。

特にグーグルを訪問した時にわかりましたが常にインターンの学生が大勢いて、優秀な学生の青田買いは日常的に行われているようです。

私はアップル、グーグル、フェイスブックいずれも訪問したことがありますが、これらの会社はスタンフォード大に近いだけでなく、いずれの会社間も車で行けばわずか15-20分の距離にあり、その近さには驚きました。

私は何故、この地域ばかりに成功した新規事業者が集まっているのかと思っていました。

実際にこの地域へ出張し、これらの会社を訪問したら、その答えは簡単でした。

この地域には優秀な学生を見つけ、その学生が発明した技術にタイムリーに資金援助するベンチャーキャピタリストもいます。しかもいずれもすぐ近くに。

新規事業を容易に立ち上げることができるエコシステムが既に出来上がっています。

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GAFA 第九章を読んで

第9章 NEXT GAFA

GAFAに次ぐ第5の会社はどこになるのでしょうか?

この章ではその候補を挙げています。

アリババ、テスラ、ウーバー、ウォルマート、マイクロソフト、エアビーアンドビー、IBM、ベライゾン/AT&T/コムキャスト/タイム・ワーナー

これらの中に古い企業も含まれているのは少し意外でした。

古い会社も変革により新しい事業で成功することを考えていることが読んでいくとわかります

例えばIBMはコンピューターの会社からコンサルの会社、そしてAIの会社へと変貌しました。

これら効果の中でもテスラは非常に興味深い会社です。

テスラには前の章で上げたGAFAとの共通点がいくつかあります。

例えば垂直統合です。

従来の自動車会社は販売店を使い事業を行っていますが、テスラの電気自動車は直販店を持って販売しています。又、顧客に対して非常にきめ細かいサポートを行っています。

地の利もテスラとGAFAの共通点です。

この会社はアップル、グーグル、フェイスブック同様、シリコンバレーで2003年に写真にあるイーロン・マスクによって設立されました。

設立されてから15年の会社ですが、テスラは2017年4月に時価総額でGMを抜きました。

株価売上高倍率は6.5で、GMの0.29、フォードの0.32とは桁違いです。

2016年のテスラの販売台数は8万台とまだ小さいですが、同社は売上からの利益ではなく、市場から安く資金調達ができます。

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GAFA 最後の2章 第10章、第11章を読んで

第10章、第11章

最後の2章です。この2章でGAFAを総括しています。

GAFAは合計41万8000人の社員を雇用し、公開株式の価値は合計で2兆3000億ドル

この社員数はアメリカではミネアポリスの人口と同じです。

一方、この株式時価総額は人口6700万人のフランスの国内総生産に匹敵します。

この本では引用されていませんが、日本で言えば鳥取県の人口56万人よりも少ない人たちがフランス一国の価値を株式市場で生み出していることになります。

“四騎士(GAFA)と戦ったり四騎士に悪というレッテルを貼ったりするのはむなしいかもしれない。あるいは本当に間違っているかもしれない。私にはわからない。しかしこれら四騎士を理解することは絶対に必要だ”

この言葉で著者はこの本の最後を締めくくっています。

この本には記載されてはいませんが、GAFAの2017 Fortune 500でのランキングを調べてみました。言い換えると売上という指標での比較をしてみました。最近発表されたFortune 500ではアップルとアマゾンは2018年版では順位を上げ、売上でもトップ10入りしました

アップル              11位 => 4位(2018)

アマゾン              18位 => 8位(2018)

グーグル              52位

フェイスブック   274位

この本ではGAFAを時価総額で比較していますが、売上という指標ではウォルマートが2017年、2018年共に第1位です。

世の中にはどうやって売上を伸ばし、利益を出すかをまず考え、売上が思うように伸ばない場合、利益を出す為に投資を抑える会社が多いですが、GAFAは売上による利益で投資資金を調達はしていません。

GAFAの本当に凄いところは明確なビジョンを持ち、それを支える株主、高い株式による潤沢な資金調達による投資ができることにあるのかもしれません。

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