はじめに

2017年に出版された『GAFA』はベストセラーとなりました。その続編『GAFA next stage』が出版されましたが、既に読まれたでしょうか?

興味をもった本だけれど、仕事が忙しくて本を読む時間があまりない。

実は、こんな方はたくさんいるのではないでしょうか?

そんな方の為、このブログでは、これら2冊の本の重要ポイントのみをご紹介させて頂きます。

『GAFA』はまだGAFAを知るビジネスマンも限られていた時代に発行され、GAFAという言葉は一気に普及しました。

『GAFA next stage』は3年後、コロナ禍が始まった2020年に書かれましたが、ポストコロナ禍の世界も予言しており、大変興味深い内容が書かれています。

ご興味のある方は是非この2冊を手に取ってご自身でお読みになって下さい。

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GAFA next stage イントロダクションを読んで

まずはイントロダクション。

イントロダクションではいくつか興味深い数字が引用されています。

コロナ禍は今まで起きてた変化を一気に加速しました。

この本で引用されている具体的な数字をご紹介しますと、eコマースは2000年に始まりましたが毎年1%の成長で2020年初頭、小売業におけるデジタル取引は約16%でしたが、コロナ禍が広がって8週間後には27%に跳ね上がりました。10年分の成長が僅か8週間で起きたわけです。

次に雇用数字。アメリカでは過去10年間で2,000万の雇用がうまれました。しかしコロナ禍でわずか10週間で4,000万の雇用が失われました。

そんな中、レストランや劇場は大打撃をうけて、廃業に追い込まれる会社もたくさん出てきました。

しかし、GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon) +Xはコロナ禍でより強大になりました。

ここにアップルとテスラの驚くべき数字があります。

アップルの時価総額が1兆ドルに達するまで42年かかりましたが、コロナ禍の中で僅か20週で2兆ドルを突破しました。

同じ時期にテスラの時価総額は世界一となり、トヨタ、フォルクスワーゲン、ダイムラー、本田の合計時価総額よりも大きくなりました。

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GAFA next stage 第一章を読んで

第一章のポイントは “ブランド時代の終焉”です。

この本の著者スコット・ギャロウェイはブランド時代は2020年の夏に終わったと言っています。

コロナ禍の中、ソーシャルメディアの普及とインターネットでの検索がすべてを変えました。

これらデジタルツールはブランド時代を終わらせ、私たちは今、「プロダクト時代」の始まりにいると著者は語ります。

コロナ禍で何が起きたのでしょうか?

アメリカのメディア大手では社員を一時帰休、あるいは解雇しましたが、グーグルは雇用を増やしました。

高額な費用がかかる広告を打てなかった地方の中小企業でも良い製品を持っていれば、グーグル検索で簡単に見出してもらえる時代は来ていましたが、コロナ禍により、それが一気に加速しました。

第一章ではもう一つ興味深い分析がされています。

「プロダクト時代」には「青」と「赤」の二つのビジネスモデルがあるという分析です。

青とは何でしょうか? 赤とは何でしょうか?

スマホでいえば、青のビジネスモデルとは、アップルです。高価ですが、裏でデータ利用されることはありません。赤のビジネスモデルとはグーグルのアンドロイドです。まずまずの品質で、安いか無料で端末が使えますが、ユーザーは個人データとプライバシーを提供しなければなりません。

動画サイトでいうと、ネットフリックスは青、YouTubeは赤です。YouTubeを見ると貴方の選択した動画はYouTubeが記憶し、他のお勧め動画を見せてくれますが、それは貴方は好みの情報を提供し、それを分析されているということです。

ソーシャルメディアでいうと、ツイッターは青、フェースブックは赤です。フェースブックユーザーは知り合いですか?という問い合わせを見てドキッとした方もいると思いますが、貴方の情報は分析されている訳です。

eコマースでいうと、カナダの企業ショッピファイは青、アマゾンは赤です。あなたの購入履歴は記憶され、それを元に貴方が興味を持ちそうな商品をアマゾンは提案してきます。

青、赤、どちらのビジネスモデルを選択するかは顧客の自由ですが、どちらが最後の勝者になるかはまだわかりません。

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GAFA next stage 第二章を読んで

第ニ章でも興味深い数学が引用されています。

2020年前半エクソン・モービル、コカ・コーラ、JPモルガン・チェース、ボーイング、ディズニー、3Mの時価総額は30%下落しました。

一方、同じ期間に、GAFA(アマゾン、アップル、フェースブック、グーグル) + マイクロソフトの時価総額は24%上昇しました。そしてこの5社で、アメリカで公開されている全株式の価値の21%をしめるまでとなりました。

そして、この章で一番興味深い記述はこのひとことです。

それは、「いまやすべてテック企業」という言葉です。

テック企業とは以前はコンピューターのハードとソフトを作っている企業を指していました。

しかし、今や、テック企業は技術インフラを作るだけの存在ではなく、テック企業自身が業界のプレーヤーになりました。

一番わかりやすいのがアマゾンです。アマゾンは本だけでなく、いまやあらゆる製品。サービスを扱っています。

この章での、もう一つの重要なポイント。それはアマゾンが「費用の科目」を「収益の科目」に変えたことです。

具体的に言いますと、アマゾンは本をはじめとする物品をネットで販売するeコマースをやる為に、データセンターを使っていましたが、それはアマゾンにとって外注する「費用」でした。

そして、それは従来のビジネスの権威者が「コア・コンピタンスに集中せよ、それ以外はアウトソースせよ」と何十年も説いてきた当たり前のことでした。

ところが、アマゾンは、なんとデータセンターを自前で作り、それを運営し、更には、使っていないデータセンターのサーバー容量で収益を上げる仕組みを作り、AWSという会社まで立ち上げ、「費用」を「収益」に変えてしまいました。

スコット・ギャロウェイはこの章でGAFA+Xの中で最初に時価総額3兆ドルとなる企業はアマゾンと予想しています。

まだ、どうなるかわかりませんが、アマゾンが従来のビジネス常識で運営されている企業ではないことは明らかであると思います。

アマゾンが始めたAWS事業はビジネスの世界では常に正しいことはなく、過去に成功したやり方(本業以外はアウトソース)が将来も成功する訳ではないことを示す良い例かもしれません。

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GAFA next stage 第三章を読んで

第三章ではGAFAではなく、台頭するディスラプターを紹介しています。

ディスラプターとは英語でDistruptor 、破壊的企業のことをいいますが、クラウドやビッグデータ、IoT、AIなどのテクノロジーを最大限に活用して、既存の業界の秩序やビジネスモデルを、破壊する会社を意味します。

それらの会社にはこれらの特徴があるとスコット・ギャロウェイは分析しています。

・人間の本能に訴えかける

・キャリアの箔付けになる

・成長とマージンのバランス

・ランドル ランドルとは定期的な売上をもたらしてくれる商品やサービスの集まり

・垂直統合 

・ベンジャミン・バトン製品 これは年が経るほど若返る製品やサービスのことを指します。

・ビジョンに満ちたストーリーテリング

・好感度

本書では業界ごとにディスラプターをリストアップしています。

・観光・ホテルのエアビーアンドビー 社

この会社は所有もメンテナンスもせずに遊休資産の収益化を実現しました。上場すれば、観光・ホテルの分野で最も価値のある企業になると本書は予想しています。

・寝具のブルックリネン社

スコット・ギャロウェイの教え子が設立した会社。サプライチェーンを簡素化して。優れた製品にさらに高い価値を付加して提供しています。

・旅行のカーニバル社

ポスト・コロナで世界で注目すべき企業。コロナ禍で大きな打撃を受けたが、生き残れば株価は3倍になると予想しています。

・保険のレモネード社

サプライチェーンのデジタル化で高い流通費を削減し、AIを使ってリスク評価の精度を上げることで損害率を低下させた保険会社です。日本で言えば、テレビコマーシャルでおなじみのライフネット生命に近いビジネスモデルですね。

・動画配信のネットフリックス社

この会社は自分の家のリビングルームから映画の100倍の価値へオンデマンドでアクセスできるサービスを提供しています。スコット・ギャロウェイは2011年にこの会社の株を12ドルで購入し、10ドルで売却した後、2020年に500ドル前後で推移していることを本書で後悔しています。

・医療のマン・メディカル社

この会社はスマートフォンでリモートで医療サービス提供するビジネスモデルを追求しています。

・フィットネスのペトロン社

この会社の会員数は100万人に近づき、定着率はネットフリックス、アマゾンプライム並の93%に達しています。

・金融のロビンフッド社とパブリック社

ロビンフッド社は株式投資アプリのビッグネームで、取引き手数料をゼロにしました。パブリック社は自社アプリを株取引のできるソーシャル・ネットワークを提供しています。

・音楽のスポティファイ社

この会社には定期的な売上があり、本書でいうベンジャミン・バトン製品を持っています。著者はネットフリックスとの合併し、スマートスピーカーのソノス社を買収して垂直統合することを薦めています。

・自動車のテスラ社

テスラを買うことは究極のステータスシンボルであると同時に、自分はイノベーターであることをアピールできるとスコット・ギャロウェイは語ります。テスラはコロナ禍で最大の恩恵を受けた会社の一社であることは間違いありません。

・SNSのツイッター社

スコット・ギャロウェイは自身が株主であることを自白しています。そしてツイッターが占めている空間をきちんと支配することが出来たら1000億ドル企業になるだろうと本書で予想しています。最近、テスラが一度キャンセルしたこの会社の買収を改めて表明しましたね。

・配車サービスのウーバー社

この会社の優位性はコストを変動費化できることにあります。

・メガネのワービーパーカー社

この会社には素晴らしいストーリーがあるとスコット・ギャロウェイは語ります。

・シェアオフィスのウィーワーク社

コンセプトは申し分ないが適正な規模が必要であると著者はアドバイスしています。

・SNSのティックトック社

素晴らしい製品を所有している会社で将来の見通しは明るいと著者はみています。

・大学

最大の獲物という表現で、最後に大学を挙げています。アメリカで何より大きくて動きの鈍いものといえば、大学とこの章を締め括っていますが、著者はこの分野にディスラプターが将来、現れることを示唆しています。

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GAFA next stage 第四章を読んで

第四章ではアメリカの大学教育の問題点を上げて、最後に興味深い提案をしています。

アメリカの大学をビジネスとして見るとこの章で引用されている数字は、私にとっていずれも驚くべきものばかりでした。

過去40年でアメリカの大学の授業料は1400%上昇しているそうです。

医療費が同じ時期に600%上昇していますが、それをはるかに高い上昇率です。

一方、大学授業料の上昇率と対照的に旧態依然としたもの、変わったものといえばスライドの代わりにパワーポイント、法律用便箋の代わりにノートパソコンが使われる様になりました。

これでわかる様に、授業料の上昇率に対して大学の提供する価値は余り上昇していません。

何故、親たちはこの様な大学へ対価に見合わない非常に高い授業料を支払うのでしようか?

スコット・ギャロウェイはアメリカの大学の授業料を押し上げた要因は少数のエリート大学の希少性であり、多くの親たちはエリート大学を公益の為の存在ではなく「贅沢品ブランドの一種」と思い込んでいることにあると説いています。

そして、学生ローンというヘロインが、大学という贅沢品を購入する為に湯水の様に使われています。

今やアメリカの学生ローン残高は総額1兆6,800億ドルだそうです。

これはアメリカのクレジットカードの負債や自動車ローンの残高の総額よりもはるかに大きくなり、平均的なアメリカの大学生は卒業時に3万ドル近くの借金を抱えています。

スコット・ギャロウェイはこの章で、この状態を改革する為に以下の提案をしています。

(1) 大学定員の増加 

州と協力して州立大学の定員を大幅に増加させ、授業料を下げる必要があります。

(2) 私立校への課税、公立校へ補助金

一部の私立校に大きな資金が集中し、寄付金が多いその学校の卒業生の子息子女が優遇して入学できる様な、現代のカースト制度になっている今の大学教育を変える必要があります。

(3) 大学への寄付金への課税を行う。

ハーバード、MIT、イエールへの寄付金の合計額(850億ドル)は、多くのラテン・アメリカの国のGDPより大きいそうです。

大学が提供する価値よりも多くの現金が大学へ提供されているのであれば、これらの大学は非営利組織ではなく、営利企業であります。

(4) GAFA+Xと大学の連携 

いま、私たちは、数十年に一度の大きなビジネスチャンスをつかみ、授業料無料の大学を開設する企業を必要としています。

このビジネスモデルは従来のモデルをひっくり返したものとなります。

その企業が大学生のトレーニングから、資格認定、テスト、成績評価まで行い、その大学の優秀な学生を獲得する仕組みをスコット・ギャロウェイは提案しています。

しかし、これを今すべきなのは巨大帝国となったGAFAや、1企業ではなく政府なのかもしれませんが。

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GAFA next stage 第五章を読んで

最終章の第五章では資本主義の特徴をリストアップし、アメリカにおける資本主義の功罪を指摘しています。

資本主義の良い点は

・生産性を高めること

資本主義は私たちを互いに競わせることで。多くの選択肢と機会を生み出し、高い生産性を生み出します。

・優秀な人材を集めること 

スコット・ギャロウェイは父と母がスコットランドからの移民であることから話を始め、自身の才能がアメリカで花開いたことを語ります。

・協力を促すこと

スコット・ギャロウェイはイスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの著者『サピエンス全史』のフレーズ「見知らぬ他人と協力できたことがサピエンスが世界を支配している理由』を引用して、資本主義が協力を促したことをここで述べています。

資本主義の悪い点は

・外部性の問題

外部性とは当事者がコストを負担しないことです。公害はその典型的な外部性の問題です。

・不平等

200年前、アメリカは黒人奴隷の労働の上に成り立っていました。現在でも、黒人家庭は平均すると白人家庭の10分の1の富しか所有していないというデータを引用しています。

スコット・ギャロウェイは、これら資本主義の問題を解決するのがアメリカ政府の役割であり、コロナ禍はまさにアメリカで資本主義と政府の力の均衡が試練にさらされたがアメリカは無惨な挫折を味わったと語ります。

そして。今のアメリカの状況は以下の通りであると言います。

資本主義(社会の階段を上がる場合) + 社会主義(社会の階段を降りる場合) = 縁故主義

言い換えると現代のアメリカは資本主義と社会主義の「悪いところ」のハイブリッドとなっていると説明します。

アメリカは危機が訪れた時、Too big to fallと言って政府の資金を注ぎ混みましたが、それは貧困層へは渡らず、大企業の株主や高額の給料を受け取る幹部を助けました。このようなことを社会主義の「悪いところ」と表現しています。

第五章で、アメリカの今の問題を示す具体例としてディズニーランドが引用されています。これは大学でも類似のことがあると書かれていますが興味深い引用なので、ここでご紹介します。

昔はみんなディズニーランドのチケットブックにお金持ちも貧乏な人々も9ドル50セントを支払って同じラインに並びました。平等でした。

しかし、今ではお金持ちは170ドル払えばファストパスを買って「カリブの海賊」に僅か10分で入れます。

又、超リッチな上位1%の人々は5,000ドルを支払って、ツアーガイドがつき、特別なダイニングルームでディズニーキャラクターのコスチュームをきたスタッフが給仕をしてくれてバックステージにも入れます。

しかし、お金のない人は119ドルを支払い1時間待つことになります。格差社会の縮図です。

第5章の後半ではGAFA+Xが権力を政府が抑制すべきと主張しています。

2017年にスコット・ギャロウェイが書いた『GAFA』ではGAFA各社の詳細な説明と将来のGAFA候補の紹介がされていましたが、本書ではコロナ禍で更に強大となったGAFAの実体から語り始め、アメリカにおける資本主義の問題点を浮き彫りにしています。

『GAFA』以上に読みごたえのある大変興味深い内容でした。是非、ご一読をお勧めします。

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GAFAを読んで はじめに

GAFAという言葉がビジネスマンの間では標準語になりましたが、皆さんご存知ですか?

GAFAとは

Google, Apple, Facebook, Amazonの頭文字をとった言葉です。

最近ではMicrosoftを加えてGAFAMという方もいます。

GAFAという言葉をタイトルにしたスコットギャロウェイの本を買って読みました。

このブログではこの本の要点のご紹介に加えて、私とGAFAとの関わり、私の実体験も加えて書いてゆきます。

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GAFA 第一章を読んで

まず第1章

サブタイトルは世界を創り変えた四騎士

この章ではまず、2006年の時価総額トップ5と2017年の時価総額トップ5を比較しています。

2006年の時価総額ランキングはエクソンモービル、GE、マイクロソフト、シティグループ、バンクオブアメリカがトップ5でした

11年後の2017年のトップ5に残っているのはマイクロソフトだけです。

アップル、アルファベット(Googleの持ち株会社)、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックが新しいトップ5となりました。

GAFAは1976年に設立され今年で42年となるアップルを除き、3 社はいずれも若い会社です

アマゾンは24年前、グーグルは20年前、フェイスブックは14年前に設立されたばかりの会社です。

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GAFA 第二章を読んで

第2章はアマゾンの紹介です。

アマゾンは老舗百貨店のメイシーズ、コールズ、JCペニーのシェアを全て抜きさってしまいました。

興味深いのはアマゾンはeコマースだけの会社ではなくなり昨年高級食料品スーパーWhole Foodsを買収し、店舗販売も始めたことです。

又、アマゾンはレジ不要のアマゾンゴーの実験的店舗も始めました。

アマゾンゴーとは欲しいものを棚から取った瞬間に無線の技術で認識し、お店のゲート通過時にお客がその品物を購入したことを認識し、代金を口座から引き落とすシステムです。

アマゾンは本とCDの販売から始めて今では何でもネットで買えますが、アマゾンはここに来て店舗と合わせたマルチチャンネルという売り方を始めようとしています。

この本によれば米国小売市場は24兆ドル、一方、米国通信市場は1兆4000億ドル、米国メディア市場は6020億ドルです。

従い、アマゾンの対象市場である小売市場はアップル、グーグル、フェースブックの対象市場よりもはるかに大きく、アマゾンの伸びしろはGAFAの中で一番大きいと言えます。

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